2021年11月3日放送

もったいないから生まれた"天むす物語"

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フードロスが主役に大変身。口コミで話題になっている、おいしいものを紹介します。

【記者リポート】
「おはようございます。時刻は朝7時を回りました。『早起きは三文の徳』を感じられる、おいしいものがあると聞いて新潟市西区にやってきました」

開店まもなく訪れたお客たち。味わっていたのは...。

【飲食客】
「おいしくて止まらないです。はまりましたね。悔しいけれどはまりました」
「寝ている時も食べたいなって思うので、なるべく人が来ないうちに食べるんですけれど」

甘い天丼のタレが染み込んだ天かすを、ご飯と和えて握った天むすです。天むすというと、えびの天ぷらを具にしたおにぎりのイメージですが、引けを取らないおいしさです。

この天むすを考案したのは、新潟市西区にあるそば店「蕎麦DAYS」を営む中山義和さん(51歳)です。そば用に天ぷらを揚げると1日にボウル4個分もの天かすが出て、これまではそのほとんどを廃棄していました。

【蕎麦DAYS 中山義和店主】
「今までは本当にどうしようかなってずっと思っていましたけれど、今は別の形で主役になってよかったなって思います」

植物性の油でサクサクに揚げられた天ぷら。その天かす自体が主役級の美味しさだとして、日の目を見ることに。

特製の天むすはそば店の営業時間の前、午前7時~午前10時限定で、店の名前を「天むす亭」と変えて提供しています。そのお味は?

【記者リポート】
「タレの甘みがほんのり優しく、朝にもうれしい味わいです。天かすの油がほどよくて、もっちりとした食感。不思議と重みはなく、何個でも食べられそうです」

天むすはテイクアウトもでき、出勤前に朝ごはんを買う人が多いのでは、という中山さんの見立てが見事ヒットし、売り上げは好調です。

【天むす亭 中山義榮店主】
「大変、お待ちどうさまでした。天むすセットです」

天むすを握っているのは、中山さんの父・義榮さん(80歳)。料理人経験65年の義榮さんは一旦、リタイアしましたが、まだまだ誰かのためにおいしい食事を提供したいと、10月に80歳で天むす亭の店主に就任しました。

【天むす亭 中山義榮さん】
「朝ごはんは笑顔で、一日の始まりだから。『おいしくなれ』と、おいしく食べていただけるような感謝の気持ちで握っているような感じでね。(食品が)ごみになったのでは何にもならないですからね。少しでも役に立って、みなさんのところに提供できればと思っています」

もったいないから始まった天むす物語。この先も長い活躍を誓う80歳の店主が、天かすをお宝に変えて提供し続けます。

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