■ ケンジュの第1歩
健康寿命と運動の関係、気軽にできる運動やウォーキングに関して
新潟臨港病院 理学療法士で生活習慣病予防にも詳しい白井信行先生にお話しをお聴きしました。
Q.健康寿命と運動の関連を教えて下さい。
近年「フレイル」とい言葉を耳にする機会が増えてきたと思います。
「フレイル」とは加齢で筋力や認知機能が低下して、介護が必要な状態となったり、死亡の危険性が高まることを言います。
日本では男女とも65才以上の方の約半数が、このフレイルの予備軍と言われています。
一般的に、普通に生活をしていても、45才くらいから1年に1%くらい低下し、特に高齢になるとさらに加速すると言われています。筋肉量・筋力が低下すると、歩く力・立つ力が弱まり、転倒や骨折をしてしまい、介護が必要になってしまう方もいらっしゃいます。
自立した生活をするためにも、運動をしっかりして筋力や筋肉量を維持することが大切です。
Q.具体的にどこを鍛えることが大切ですか?
加齢で衰えやすいのはは、主に足腰の筋肉です。
特に、ももの付け根やももの前部、脛の筋肉。おしりやふくらはぎの筋肉が衰えやすいと言われています。これらの筋肉は自立した生活を送るために重要なものです。
転倒して怪我をしてしまったために、なおさら動かなくなってしまうケースもあるようです。
Q.なかなか忙しくて運動ができない、運動が苦手という方はどうすれば良いですか?
そんな方のために、二つご紹介します。
■ 階段昇降
階段の上り下りは加齢で衰える足腰の筋肉を鍛えるのに非常に有効です。
日々の生活の中で、意識して階段を使うようにしましょう。
継続していくことで、自分でも足腰が鍛えられてきていることが自覚できます。
昇る際はつまずかないよう、しっかりと足を上げ、
下る時は一歩一歩しっかり前へ踏みだすことが大事です。
手すりを使っても構いませんし、膝が痛い方、ご高齢の方はムリのない範囲で。
■ 椅子に座ってできる足の筋力トレーニング
椅子に座って背筋を伸ばして下さい。
片足だけ、つま先を反るようにし、(上に向けるようにして)膝をまっすぐに伸ばして下さい。
それを5秒間保持しましょう。
次は反対の足で。これを左右20回づつ行いましょう。
この運動は、ももの前の筋肉を軽い負荷で鍛えることができます。
膝が痛い方や、デスクワークばかりの方にも気軽にできるのでお勧めです。
Q.陽気が良くなってきましたが、ウォーキングはいかがですか?
ウォーキングは、非常に効果的です。
コツ:目線は遠くを見て、少しあごを引く感じで。
胸を張って、背筋を伸ばす。腕は前後に大きく振りましょう。
足は、親指でしっかり地面を蹴って、着地の際はかかとから着くようにしましょう。
ウォーキングは全身を使った有酸素運動です。正しい姿勢で歩くことで、ダイエット・筋肉の維持に効果的です。逆に間違った姿勢で行ってしまうと、膝や腰などの間接に負担が掛かってしまいます。
Q.どれくらいの距離やスピードで歩くのが良いのでしょうか?
スピードは少し息が弾む、人と会話できるくらいがちょうど良いです。
あまり初めから早いペースで行いすぎると継続できません。まずは楽なペースで初めて、徐々にペースを上げていくのが良いでしょう。
歩数は1日8000歩を目標にして下さい。またその中で、20分くらい早歩きをすると良いでしょう。
筋力低下の予防、メタボ対策、生活習慣病予防に効果的です。
これも徐々に増やしていくことが肝要です。
現在の歩数から+1000歩、早歩きは+10分くらいから始めると良いです。
万歩計や歩数計を使って、数字を意識する効果的です。
Q.最後にアドバイスをお願いします
筋力を維持して、健康寿命を延伸するためには、少しでも座っている時間を減らして活動する時間を増やすことが重要です。
まとまって運動する時間が取れない方、運動が苦手という方も、立っている時間を増やし、座っている時間を減らすことを心掛けましょう。
(新潟臨港病院 理学療法士 白井信行先生)