新潟県はこどもの虫歯の数が19年連続で全国一少ないという記録を持ち、
虫歯予防の先進県として知られています。
しかし一方で、大人になってからのケアが十分でない実態が課題となっています。
■ 新潟県の現状
6月13日
高齢者福祉施設に勤務する人を対象に、新潟県歯科保健協会が講習会を開きました。
歯科衛生士が歯磨きの仕方をはじめ、高齢者の口腔ケアのポイントについて、実践を交えて指導しました。
食べ物を食べる、話しをするといった基本的な生活動作をする上で、言うまでもなく、歯や口は重要な役割を担っています。
県歯科保健協会 木戸寿明専務理事は
「生涯にわたって健康を維持するということに関して、長い目で見た場合、歯の健康の状態がものすごく体に影響を及ぼしてくるといわれています。お口の中の清潔さを保つことと機能を落とさないことが口の健康を維持するうえで非常に大事です。」と話します。
新潟県は全国に先駆けて、学校でのフッソうがいを取り入れるなど、行政や歯科医医師会が連携して虫歯予防に取り組んできました。
そうした取り組みの成果が、19年連続12歳児の虫歯の本数が日本一少ないという記録を作りました。
12歳児の虫歯の本数は0.3本と全国平均の半分以下です。
しかし一方で課題となっているのが、成人の対策です。
木戸専務理事によれば、
「18歳を過ぎてしまうと定期的に歯の病気のある・なしのチャンスやメンテナンスの機会が失わてしまうのが課題です。
機能を落とさないような訓練をすることが今後の新潟の人にとっては大事になってきます。」
■ 「8020」(ハチマル ニイマル)
80歳を超えても20本以上元気な自分の歯が残っていることを「8020」(ハチマルニイマル) と呼び、
日本歯科医師会などが健康の目安にしています。
しかし「8020」の達成者の割合、新潟県は39%と全国平均(51%)を大きく下回っています。
これを受けて県も、今年から成人期を対象に、サポート事業を始めました。
花角知事も5月の記者会見で健康立県の取り組みの中でも、歯の健康は非常に重要。
特に大学以降の歯の管理、健康に力を入れたいと話していました。
県は大学や企業を対象に、どのような歯科衛生指導を行っているか実態調査を実施。
一部の事業所や学校をモデルにし、効果的な啓発方法を探るということです。
■ 歯や口の健康が全身の健康に
口腔機能を低下させないため、県歯科保健協会の講習会では、口の運動を重点的に指導していました。
下を持ち上げる力を維持するために、割り箸を口にくわえて輪ゴムを渡す運動や、
出たカードのカテゴリーごとに舌を動かす方向を変えるゲーム。
(果物のカードが出た時は舌を上、野菜の時は舌を下、動物の時は舌を右、花の時は舌を左に動かすゲーム)
こうした口の運動は、虫歯や歯周病を防止する唾液の分泌を促します。
実際に介護の現場で働く人も高齢者の口の健康さを痛感しています。
参加した介護現場で働く方は
「歯の無い人はうまく噛めないので、お肉や野菜がうまく食べきれないことがあるし、
口の中が汚れている人は、誤嚥性肺炎につながる恐れもある。
口のなかと身体全体の様子を良くしていって、嚥下機能を低下させないことが必要ということで、
今回の勉強会はすごくよかった。」
「食べることが力になっているので、食べていかないと健康状態も悪くなる。
食べることは生きることにつながると思って仕事をしている。」
と話してくれました。
歯や口の健康が全身の健康に―
いつまでもいきいきと生活するため、大人になっても継続的に、そして丁寧に、
歯や口のケアを続けることが重要です。
(『 ゆうなび 』 2019年 6月 24日放送)