症状がなくても、定期的にがん検診を!
10月は全国的に「がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間」が展開されているということで、
新潟県福祉保健部健康対策課の和田 侑子(わだ ゆうこ)さんに お越しいただきました。
Q,今月は「がん検診の受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間」ということですが、
詳しく教えていただけますか?
はい。受診率を向上させることにより、がんによる死亡者の数を減少させることを目的として、
毎年10月に実施しているキャンペーンです。
厚生労働省や都道府県、日本対がん協会、企業、関係団体などが連携協力して、
がん検診への理解と関心を国民に高めるための様々な取り組みを行っています。
Q,日本人の亡くなる原因の最も多い病気が 「がん」 だというのはよく知られていますよね。
実際日本そして新潟県のがん事情はどのようになってるのでしょうか?
「がん」は誰もがかかる可能性がある身近な病気です。
生涯のうちでがんに掛かるリスクは男性で62%、女性が47%で、
日本人の約二人に一人が癌になる可能性があると言われています。
新潟県も含めて日本では、昭和50年代から現在までがんが死因の1位となっており、
新潟県でも毎年7,000人以上もの方が がん で亡くなっています。
Q,新潟県で年間7,000人もの方が亡くなっているのですか!全国と比較して、新潟の特徴はありますか?
はい。胃がんの死亡率が5位、大腸がんの死亡率が9位、乳がんの死亡率が3位など、
消化器系のがんの死亡率が高くなっています。
これらに限らず、がんの発症には喫煙や食生活運動など生活習慣が大きく影響しています。
そのため県民一人ひとりががんについて正しく理解し、
望ましい生活習慣を身につけ予防に努める必要があります。
Q,なるほど。やはり、一人一人が気をつけていくのが大事なんですね。
これには啓発活動が非常に大切だと思うのですが、
新潟県がこれまでどのような対策を行ってきたのか教えてください。
はい。「新潟県第2次がん対策推進計画」では、がんによる死亡者数を減少させるという全体目標の他、
肺がん、胃がん、女性のがんの予防の推進などを重点課題として取り組みを実施しました。
その結果、肺がんや乳がん等のがん検診の受診率が増加しています。
ただその一方で、子宮がん検診受診率など目標値に達していない項目もあったため、
平成28年に県のがん計画を改定し、計画年度を平成29年から令和2年として、
引き続き取り組みを進めています。
Q,その中で、がんを予防するために是非これを実践してください、という
「がん予防 新12か条」を作られたとお聞きしました。具体的に教えていただけますか。
是非お聴きのリスナーも、自分はどれだけあてはまるか確認してみてください。
- タバコ吸わない
- 他人のタバコの煙をできるだけ避ける
- お酒はほどほどに
- バランスの取れた食生活を
- 塩辛い食品は控えめに
- 野菜や果物は豊富に
- 適度に運動
- 適切な体重維持
- ウイルスや細菌の感染予防と治療
- 定期的ながん検診を
- 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
- 正しいがん情報でがんを知ることから
皆様はいかがでしょうか?
Q.私はどうだろうなあ…お酒とか飲んじゃうし、塩辛いの好きだし、野菜も摂れてない日は摂れてないかな・・。
もう少し詳しく教えていただいて宜しいでしょうか。
この「がん予防新12か条」ですが、がん予防に有効とされることをまとめたものでして、
2011年に公益財団法人がん研究振興財団より公表されました。
1番と2番がタバコの項、となっています。
タバコは、肺がんだけではなく膵臓、子宮頸がんなど多くの部位のがんのリスクを上げてしまいます。
また本人だけではなく周囲の人にも健康被害をもたらしますので配慮が必要です。
4番から6番は食事についてです。
摂りすぎるとがんのリスクを上げる食品中の成分あるいは調理の過程で生成される化学物質などがあり、
それらのリスクを分散させるためにも、偏りなくバランスの良い食事を心がける必要があります。
中でも塩分の摂取量を抑えることは、日本人で最も多い胃がんの予防に有効であるだけではなく、
高血圧を予防し循環器疾患のリスクの減少にもつながります。
Q,新潟はお米やお酒が美味しいので、どうしてもしょっぱい物が好きな人が多いのかも知れませんね。
そして今日のテーマでもあります10番が「定期的な検診が大事」ということですね。
はい。がんは相当進行した段階で、初めて症状が出る場合が多く、
早期のがんで症状が出る場合がほとんどありません。
がん検診は症状のない方を対象として、主に早期のがんを発見するのに有効となっています。
Q,新潟県が進めている健康立県実現のためのキーワードの中に
「早期発見 早期受診」というのもありますよね。
実際、新潟県の健康診断やがん検診の受診率などは、どのような状況なんでしょうか?
40歳から60歳の方のがん検診受診率は全国と比べて高くなっていますが、
若年層や働き盛りの40歳から44歳の方のがん検診受診率が低くなっています。
またがん検診における子宮癌や大腸がんの精密検査受診率が80%を下回っています。
そのため子宮癌や大腸がんも含めた全てのがん検診の精密検査受診率を100%とすることを目標としています。
Q,みんな大切さはよく分かっているはずなのに、どうして検診を受けなかったり、
精密検査を受けなかったり、ということになるのでしょうか?
内閣府の世論調査では、半数の人が「検診を受ける時間がないから」と回答しています。
しかし検診を受けないと、生活習慣病の発症や重症化のリスクが高まり、
結果として生活の質の低下につながる可能性があります。
Q,やはり面倒とか忙しいとか言わずに、自覚がない段階でもしっかりと検診を受けるというのは必要なんでしょうね。
この秋から新潟県では、「はじめよう、けんこうtime」というスローガンを掲げ、
健康づくり県民運動ヘルスプロモーションプロジェクトが本格始動した、
ということですが、これは一体どういうものなんでしょうか?
はい、自分の健康や幸せと向き合う時間を作ることで、身体の健康だけではなく、
幸福感を含んだ新潟県らしい健康にを手に入れよう、というものです。
この「はじめよう、けんこうtime」タイムというスローガンは県民投票によって決定させていただいたものですので、
ぜひ県全体で盛り上げていければと思っています。
Q,「自分の健康や幸せと向き合う時間を作る」 というのは考えさせられる言葉ですね。
忙しい、面倒だ、と検診を怠ると、手遅れになってしまうかも危険もありますから、
しっかりと検診の大切さを知って、受診して欲しいですよね。
最後に、リスナーに向けてメッセージをお願いします。
はい、ガンは不治の病ではありません。
早期に癌を発見し、早期に治療を開始すれば治る確率が高く、身体への負担も少なくすることができます。
そのため症状がなくても、定期的にがん検診を受けることが大切です。
この機会に健康について考え、がん検診を受診してください。