心の健康も身体と同じ、早期発見、早期対応が大切!

 

2回に渡ってお送りしている「心の健康」について

今回は「依存病」について、

新潟県福祉保健部障害福祉課いのちとこころの支援室 高橋 純子さんにお話を伺います。

 

 

Q,まず「依存症」と健康寿命の関係について教えてください。

 

はい。依存症になってしまいますと、生活面や家族との関係など様々な面で支障をきたします。

そうなってしまうと、健康的な生活が送られなくなってしまいます。

健康でいつまでも生き生きとした人生を送る、という健康寿命から遠ざかっていってしまいます。

 

 

Q,なるほど。依存症を回避することは、健康的に生きていくために必要だということですね。

  「依存症」というと、「アルコール依存症」などよく聞きますが、

  他にどのような依存症があるのですか?

 

はい、「アルコール依存症」は皆さんよく聞いたことあると思いますが、依存症の中でも断然多い状況になります。

他には薬物依存症であったり、ギャンブル依存症であったり、

また最近ではゲーム依存症というのも出てきております。

昨年WHO(世界保健機関)でも、ゲーム依存症について疾患として認定されました。

 

 

Q,そもそも「依存症」とはそもそもどういう状態なんですか?

 

「依存」する対象は、様々ですが、アルコールであったり、薬物であったり、ギャンブルであったり、

特定の物質や行為を、本人は”やめたいと思っているのに、やめられない”状態を、「依存症」と言います。

 

 

Q,やめたくても、やめられない。原因は何でしょうか?

 

最初は、それをすることによってリラックスしたり、気分が楽しくなったり、ということで始めるのですが、

何回も繰り返してるうちに、その気分転換だったはずが止められなくなってしまうのです。

脳の機能の話になりますが、繰り返していくうちに段々と喜びを感じる機能が低下して、

少しくらいだと喜びを感じなくなってしまうのです。

もっともっとと刺激を求めて、結果として量や頻度が増えてていきます。

それでもまだ足りなくなって、逆に焦燥感や物足りなさすら感じてしまう。

そしてさらに量や頻度を増やすという悪循環に陥ってしまう。

この状況が「依存症」ということになります。

 

一旦このような状況になってしまうと、どんどんのめり込んで、

もはや自分の意思でコントロールすることができなくなってしまうのです。

 

 

Q,本人がやめたいと思っていても、どうにもならないっていうのは怖いですね。

 

  「依存症」になりやすい人、というのはいるのですか?

 

依存症は色々な病気と同じように、誰でもなる可能性があります。

本人の意思が弱いせいだとか、性格のせいだとか思っている方も多いのではないかと思いますが、

そうではなく、先ほど申し上げたように、脳がそういう状態になってしまう病気なのです。

 

 

Q,なるほど。誰にもなり得るということなんですね。

  ではもし何かの依存症になってしまった場合、具体的にどのような影響が出てくるのでしょうか?

 

「依存症」になった方は、飲酒や薬物使用、ギャンブルなどの依存している物質、行為などを優先してしまい、

自分やご家族の生活に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

・ 睡眠や食事を疎かにするくらい のめり込んでしまう。

・ 嘘をついて、家族との関係を悪化させてもそれを続けてしまう。

・ 仕事や学校も休みがちになる、最終的には辞めてしまう。

・ 隠れて借金をするなど、お金を工面する手段を選ばなくなってしまう

 

など、健康的な生活を送ることが難しくなってしまいます。

 

 

Q,これはもう、健康寿命だけでなく、生活全般に影響してしまいますね。

  ではこの依存症になってしまったという時はどうすれば良いのでしょうか?

 

やはり、専門の医療機関で治療することが一番だと思います。

依存症の治療は早期治療が大事です。

精神科でなくとも、まずはかかりつけの内科の先生にご相談してみるというのも一つの方法だと思います。

 

最初から医療機関はちょっと…という方は、お近くの保健所や、

精神保健福祉センターでも相談をお受けしておりますのでお電話してみていただければと思います。

自助グループや家族会を紹介してくれたりもします。

自助グループや家族会などに参加して、依存症から回復したという方も大勢いらっしゃいますので、

まずは抱え込まずに、周りの人に相談してみるというのがいいと思います。

 

 

Q,ひとりで抱え込むのではなく、周り人と一緒に進んでいかなければいけないということですね。

 

はい。さらに、多くの場合、依存症の当事者は、ご自身が依存症だということは気づきづらい、

また認めたくないという傾向があります。

 

「あの人に比べれば自分は全然まだ大丈夫」

「全然やめようと思えばやめれるんだけど」

 

もう本人の意思では止められない病気になっているということを自覚できてないということです。

 

隠れてやっているのにもう止めたと嘘をついたり、もうやらないという約束を破ったりしてしまうのも

依存症の典型的な症状です。

 

 

依存症は先ほど申し上げました通り特別なものではなく、誰でも陥る可能性のある病気です。

決して恥ずかしいものではありませんし、回復が十分可能な病気ですので、

早めに対応することが大切です。

 

いつまでも健康でいきいきとした人生を送るために、

自分やご家族だけで抱え込まず、早めに医療機関や相談機関に相談してください。

 

 

◎ 依存症の方には

依存症当事者に対してやめられないことを責めたり、

嘘や約束を破られたことを怒ることで本人を追い詰めると、本人はストレスを感じ、それを解消しようと、

余計にアルコールや薬物、ギャンブルなどに頼るようになっていくことが多いといわれています。

本人を追い詰めずに、自分の気持ちを伝えることが有効といわれています。

 

またよくあるパターンとして、借金を肩代わりする、本人の代わりに会社へ休みの連絡をするなど、

本人が起こした問題の尻拭いをするのも逆効果です。

なんとか愛情で立ち直らせたいと家族が献身的に尻拭いをすると、

本人は自分の問題として直面することなく、

アルコールや薬物、ギャンブルなどを続けていくことができてしまいます。

 

こういった対応については、依存症の家族会などに参加して

「適切なサポート」の仕方を知ることからはじめてみると良いと思います。