かかりつけの歯科医をもちましょう!
11月は「にいがた健口(けんこう)文化推進月間」です。
今回は歯と口の健康について、新潟県福祉保健部健康対策課 歯科保健係の村山梨奈さんにお越しいただきました。
Q,今月は「にいがた健口(けんこう)文化推進月間」ということですが、どのようなものなのですか?
にいがた健康経営推進月間の「健口」は、「健やかな口」と書く造語です。
“身体の健康はお口の健康から”と言われているように、
歯や口が健康だと、健康で長生きができることが分かってきています。
そこで新潟県では、お口の健康のための心がけや行動が、習慣として家庭や地域に根付き、
そして次の世代へ伝わっていく、まさに文化として定着していくことを目指して
平成24年にこの「にいがた健口文化推進月間」を創設しました。
Q,なぜ新潟県では、11月にこの「にいがた健康経営推進月間」を作ったのですか?
6月の「歯と口の健康週間」に加え、
11月8日「いい歯の日」がある11月を新たな強化月間として設定することで、
さらに効果的に新潟県の皆さんに啓発をしていきたいと思っております。
Q,新潟県の歯や口の健康はどのような状況ですか?
国の調査結果によりますと、新潟県の中学1年生(12歳児)のむし歯の数は、全国で最も少なく、0.3本となりました。
19年連続日本一を達成しました。
それに加えて、県が行っている歯科疾患実態調査によると、むし歯のない中学1年生の割合は84.4%で、
過去最高を更新しています。
ただその一方で、新潟県の「8020」(ハチマルニイマル) ※80歳で20本以上自分の歯を残そうという運動)の達成者は、
39.1%で、全国平均の51.2%よりも10ポイント以上低いと言う数字が出ています。
新潟県では成人期以降の取り組みが課題になっています。
Q,せっかくこどもの頃は日本一なのに、大人になったら全国平均より下。それはもったいないですね。
にいがた健口文化推進月間ではその課題に対して、どのようなことを推奨しているのでしょうか?
にいがた健口文化推進月間では、
①よく噛んで食べること
②歯みがきなどのセルフケア
③定期的に歯科健診を受診するなどのプロのケアを受けること
等を推奨しています。
Q,大きくポイントが3つあるということですね。1つずつ詳しく教えてください。
はい。1つ目の「よく噛んで食べること」ですが、
まずは自分が食事の時に何回くらい噛んでいるのか意識することから始めてみてください。
その上で、よく噛んで食べるためにはどのようにすれば良いかと言いますと、例えば
・ 一口食べたら箸を置いてみる
・ お料理をする時の調理方法に一工夫する
ことが良いと思います。
Q,箸を一旦おいてよく噛む、というのはよく分かるのですが、
お料理する時の調理方法に工夫する、とはどういうことでしょう?
例えば食物繊維が多い食材を使ったりですとか、煮物やカレーなどの野菜を少し大きめにカットしたり、
サラダの野菜をザク切りやスティック切りにするなど、
噛みごたえのあるものにするなどの工夫が挙げられます。
Q,なるほど、そうするとおのずと噛む回数が増えて、よく噛むということにつながるわけですね。
回数はどれくらいが理想でしょうか?
新潟県として推奨している回数は、一口30回です。
意識しないとなかなか30回は難しい回数かも知れませんね。
Q,そして2つ目が歯みがきなどのセルフケア。
歯みがきは皆さんもしていると思うのですが、“など”というのはどういうことでしょうか。
歯みがきは当たり前のようにしていただいていると思いますが、いつもの歯みがきにプラスして、
例えば鏡を見ながら歯と歯茎をチェックしたり、
汚れのたまりやすい歯と歯の間や歯と歯茎の境目、噛み合わせ部分などを特に意識して磨いていただきたいと思います。
歯周病の約8割は、歯と歯の間で発症するといわれていますが、
歯ブラシだけですと、歯と歯のあいだの汚れは半分くらいしか落とせません。
しかし、歯ブラシでの歯みがきにプラスして、デンタルフロスや歯間ブラシを正しく使えば、
歯と歯の間の汚れも9割近く落とすことができるようになります。
Q,そして、3つ目が定期的に歯科医院でプロのケアを受けるということですね。
そうですね。今ほどのセルフケアのお話しをしましたが、口の中の汚れを100%落とすというのとても難しいことなのです。
日頃はセルフケアを丁寧に行っていただき、
さらにプラスして定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けるのが良いと思います。
口腔内の健康状態を点検してもらうことや、歯石除去、歯面清掃を受けることは非常に大切です。
Q,この秋から本格的に県民運動が始まったということですが、どのようなことを啓発しているのですか?
(新潟県福祉保健部健康対策課)歯科保健係としては、
3つ目の、かかりつけの歯科医を持つことの大切さを強くお伝えしていこうと考えています。
平成27年度に実施した県民健康栄養実態調査によると、
定期的に歯石の除去や歯面清掃を受けている人の割合は19.5%とまだまだ少ない状況にあります。
ケアを受けるだけでなく、お口の中で困ったことがあったら、
気軽に何でも相談できるかかりつけの歯科医を持つことは大切です。
Q,そしてこの県民運動は、個人はもちろんですが、企業や団体でも積極的に取り組むことを勧めているのですよね。
具体的に、企業や団体などにお願いしたいことはどのようなことでしょうか?
はい。昼食後の歯みがきやデンタルフロスの使用、定期的な歯科健診の受診など個人で取り組むべきことを
企業や団体全体としても是非促していただきたいと考えています。
例えば、啓発リーフレットの配布やポスター掲示を職場で行うことは取り組んでいただきやすいことだと思います。
それに加えて少し難易度は上がるかもしれませんが、職場の歯磨きスペースを整備する、
社内で歯と口の健康教室を開催する、なども効果的です。
また、職場検診の中に歯科健診を取り入れていただいたり、
歯科健診のための特別休暇制度の導入なども考えられると思います。
Q,確かに、子供の頃って健康診断の時に必ず歯も診てもらいますが、大人になるとなくなっていますね。
こどもの頃は全国で一番むし歯も少なくて良い状態なのに、大人になって意識が薄れ、
8020は全国平均以下になってしまう。
大人になってから、社会人になってからのケアというのが必要ということですよね。
では、最後にリスナーに向けてメッセージをお願いします。
歯や口が健康であることは、食生活を楽しむ、会話を楽しむ、良い表情を作るなど、
皆さんの日常生活を豊かに過ごしていただくためになくてはならないものです。
歯と口の健康を保つためには今回お話ししたように、
家庭で行うセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアを組み合わせることや
健康なお口でよく噛んで食べることが大切です。
11月の「にいがた健口文化推進月間」をきっかけとして
一生自分の歯で豊かな生活を過ごせるよう、心がけていただければと思います。
歯は一生付き合っていく大切なパートナー。
この機会にもう1度 歯と口の健康について、考えてみてはいかがでしょうか。