今回は新潟市保健衛生部保健所健康増進課の管理栄養士・平野なるみさんにお越しいただきました。

 

 

Q,平野さんは2019年の夏に続き、2度目のご出演ですね。

 その際もお聞きしましたが、新潟市の健康課題を改めて教えていただけますか。

 

はい。新潟市では他の市町村と比べて、脳血管疾患と胃がんの死亡率が高いことが課題になっています。

特に脳血管疾患は政令指定都市の中で男女ともワースト1位。

胃がんは男性ワースト3位、女性がワースト2位になっています。

 

 

Q,嬉しくないことで上位になってしまっていますが、要因としてはどんなことが考えられますか?

 

要因としては食塩摂取量が多いということが挙げられています。

食塩を摂りすぎると血圧が上がるということは、ご存知の方も多いと思いますが、

その仕組みまではなかなか知らないのではないのでしょうか。

 

 

Q,そうですね。ぜひ勉強させてください!

 

しょっぱいものを食べ過ぎると、血液中の食塩の濃度が高くなるんです。

そうすると濃くなった血液を薄めようとして、体が血管に水分を集めようとします。

そうすると、血液の量も増えていくわけです。

でも、血管の太さというのはそう大きくは変わりませんので、どうしても血圧は上がってしまいます。

そしてそれを放っておくと高血圧の状態になってしまうわけなのです。

 

 

Q,その高血圧の状態が長く続いてしまうと、良くないわけですよね。

 

そうなんです。高血圧の状態が長く続くと、血管が傷つきやすくなって、動脈硬化が進行します。

すると、脳血管疾患や心疾患というような、重い病気を発症するリスクが高くなってしまいます。

この脳血管疾患は、介護や支援が必要になる原因の2位という調査結果があります。

 

 

Q,新潟市の方は全国と比べて、どれぐらい食塩を摂っているのですか?

 

現在国の基準では、1日の食塩摂取の目標量が

成人男性は8g未満、成人女性は7g未満

とされていますが、平成27年28年度に新潟市が行った調査では、

平均で男性が10.1 g、女性が9.5g の食塩を摂っていることが分かりました。

全体で見ると、男性の約8割、女性の約9割の方が食塩を摂り過ぎています。

 

 

Q,ほとんどの方が摂り過ぎているということですね。

   さらにこの基準が変わると聴きましたが…?

 

はい。おっしゃる通りで、来年度から男性・女性共に0.5gずつ少なくなり、

男性は7.5g未満、女性では6.5g未満

に変わります。

 

 

Q,現在でさえ目標には届いていないのに、これはかなり意識していく必要がありそうですね。

  国はどうして基準を下げたのでしょうか?

 

高血圧などの生活習慣病を予防するためということが大きな理由のひとつになります。

もともと高血圧の予防治療のためには、1日6g未満に食塩摂取量を抑えることが望ましいとされており、その数字に少し近づけるため、今回基準が下げられることになりました。

 

 

Q,日本人は世界の方と比べて、食塩を多く摂っているのでしょうか?

 

そうですね。WHO 世界保健機関のガイドラインでは1日5g未満を目標としています.。

今の新潟市民の半分ぐらいですね。

ただ、やはり日本の文化として食塩が多い調味料を使うことが多いということもあり、

すぐに1日5g未満っていうのはちょっと現実的ではないので、

今回は男性7.5g未満、女性6.5g未満未満という目標にしているようです。

 

 

Q,国を上げて進めていこうという減塩。全国の各自治体でも色々な取り組みをされているそうですね。新潟市ではどのような取り組みをされているのですか?

 

そうですね。新潟市では各区で減塩レシピを発行したり、減塩に関する講座を含めた調理実習なども行なっています。

また「にいがたちょいしおプロジェクト」というプロジェクトを展開しています。

これはちょっとのお塩で健康になっていただくことを目的にしたプロジェクトで、

市民の皆様が気軽に減塩に取り組めるようなきっかけづくりを進めています。

小中学校の授業の中で減塩の大切さについてお話をさせていただいたり、

リーフレットを配布して減塩の普及啓発を行っています。

今回ご紹介したいのが、その中の「野菜deちょいしお」メニューです。

 

Q,「野菜deちょいしおメニュー」。前回もお聞きしましたね。

 

はい。こちらは野菜をたっぷり使って、食塩を抑えたメニューをスーパーや飲食店で提供していただくという企画で、今回で6回目となります。

 

 

Q,今回はどのようなお店が協力してるんでしょうか?

 

はい。飲食店では新潟市北区にあります「トラットリア ノラ・クチーナ」さん、

「ラ・トラットリア エストルト」さん、そして東区にある「麺や来味」さん、中央区にあります「麺や真玄」さんで提供中です。

続きましてスーパーでは「イオン・清水フードセンター」さんそして「イトーヨーカドー丸大」さん「ウオロク」さん、「キューピット」さん、「原信・ナルス」さんで提供中です。

2月29日までの期間限定になっていますので、この機会に是非お試しいただきたいと思います。

 

 

Q,このコーナーでも様々な先生や栄養士さんから「ラーメンのスープを全部飲んじゃいけません!」と注意されています。

毎回美味しいんだから飲みたくなるでしょ…と思いつつ、最近は残すようにはしていました。

そんな中、ラーメン屋さんが今回のプロジェクトに入っているのに、ちょっと驚きました。

 

はい、実は今回特におすすめしたいのがラーメンなんです。

6回目で初めてラーメン屋さんが入りました。

おっしゃる通り、ラーメンには食塩が多く含まれていますが、

今回ご紹介するこの「とろっとスープの塩香味ラーメン」は、

スープも含めて食塩が5.6g になっています。

さらに、野菜を169g使用しています。

1日の野菜摂取目標が350gですので、1日に取りたい野菜の1/3以上が取れるということになります。

「麺や来味」さん、「麺や真玄」さんに加え、新潟市中央区にある「中華そば来味」さんには、

「ラーメンスープ de ちょいしお」というポップを置かせていただいているのですが、

この3店舗では注文する際スタッフにお願いすると、お店の全てのラーメンメニューでスープの食塩を控えめにすることができるんです。

 

 

Q,ラーメン屋さんで “お塩減らしてください”とはなかなか言いづらいのですが、

  ポップがあることで頼みやすい感じがしますね。

  そしてスーパーのお弁当もたくさん種類がありますね。

  土曜のお昼に放送しているBSNテレビ『なじラテ。』で、先日

  メニューの考案に携わった新潟県立大学の学生さんがメニューを紹介してくれました。

  食塩を2gしか使っていなのに、すごく味がしっかりしていて、かなりビックリしましたよ。

 

「黒酢のコクと旨み! たらのから揚げ弁当」ですね。

その名の通り、こちらは黒酢をうまく活用して、食塩が少なめでも美味しく仕上げていただいています。

 

 

Q,塩気が少なくても他の調味料で味を整えることによって、

  食べたときの満足感というのを補っているのですね。

  他のお店はそれぞれどのような減塩の工夫をしているのですか?

 

まず、先程のラーメンですと、生姜や柚子といった香味野菜の風味を活かして、食塩少なめでも美味しく仕上げています。

さらにスープにとろみをつけることで、スープが麺にしっかり絡んで、

食塩が少ないスープでも美味しく感じられるようになっています。

 

スーパーのお弁当でも甘酢だれを使ったり、お好み焼きにはソースのかわりにおろしポン酢をかけるなどの工夫をしています。

 

Q,なるほど。またどのメニューにも減塩の他に、野菜がいっぱい入ってるということを強調していますね。

 

そうなんです。野菜は「カリウム」が多く含まれているのですが、

カリウムには体の中の余分な食塩を、体の外に出すのを助けてくれるという効果がありますので、減塩にも役立ちます。

「野菜 de ちょいしお」のメニューは、全て120g以上の野菜を使っているので、1日の目標である350gに近づくかなと思います。

 

 

Q,よく考えられたメニューばかりですね。

  それでは最後にリスナーにメッセージをお願いします。

 

普段味の濃いものを召し上がっている方が、急に大幅に減塩するというのはなかなか難しいかと思います。

ですが、減塩は大切ですので、意識してできるところから少しずつ実践して慣れていってください。

今回是非ちょいしおメニューを食べてみていただき、減塩を始めるきっかけにしていただければと思います。

 

本当に美味しいので是非食べてみてください。

※ 第6弾 2020/1/19~2/29

 

(2020年2月10日・17日放送)

 

■ にいがた流ちょいしお生活 ホームページ(新潟市)

https://www.city.niigata.lg.jp/smph/iryo/kenko/eiyou_syokuseikatu/choishio-memo.html