アドバイザー:新潟中央短期大学 教授 石本勝見さん

 

ラジオネーム:まっしろしろすけ さん
9歳の息子と3歳の娘の母です。
息子のことですが、食事の時に箸がうまく使えません。

小学校に上がってからもずっと直らず、今でも箸を握るようにして食べます。

私や旦那で教えても、家ではスプーンやフォークを使いたがります。

このままだと、本人が恥ずかしい思いをすると思うので

早く正しい持ち方に直してあげたいのですが、いい方法はありますか?

 

 

お答え:難しいですね。文化・マナーの問題なので、もしアメリカに生まれていれば

何も問題がない話でもありますよね。しかし、親御さんの気持ちはよく分かりますね。

心理学的に言えば、技能の学習の問題、ということになります。

学習の原理的には、山本五十六が言ったという言葉があるのですが

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて 褒めてやらねば人は動かじ」という言葉。

これが学習の原理ですよね。

そして、恐らく、やってみせてもいるでしょうし、言って聞かせてもいると思います。

ただ、その時に、たいていの親は、マイナスの点を見てしまいがちなんです。

「ほら、ここが出来てない」とか「ここがまだダメだ」とか、そういう言い方が多くなるんですね。

もちろん、そういうところも見えるんですけれども、そうではなくて、上手なところとか、

うまくできているところとか、あるいは前回よりも意欲が出てきた、やる気が出てるとか、

そういうところを見て、褒めてやるとか、いいねと言ってあげることが大事になると思います。

もう小学校3年生くらい、大体自分でも分かっているので、上手でないなりに、

うまくなっているとか、直そうという意欲があるとかそういうところを見てあげて、

それから、褒め方なんですけれども、80%とか90%出来たら褒めるなんていうことは

誰でも出来るんですけど、そうではなくて、途中経過を褒める、あるいは、

半分出来たら褒める、その半分、つまり50%のそのまた半分でも褒めるという風なやり方が、

子供がものを覚えようと言うようなときに、大事なんだと思うんですね。

それから、今回は箸の持ち方ということで、食事に関することですよね。

調べてみると食事に関するマナーというのは箸の持ち方に限らず、

基本的なマナーと言われることが沢山あるんですね。

例えば、きちんと座って食べるとか、机にひじをつかないとか。

それで、お子さんが出来ているという部分も沢山あると思うんです。

親御さんは、お子さんが将来恥ずかしい思いをするのでは、

とご心配な気持ちも分かりますが、箸の持ち方一つが上手でないからと言って、

他にきちんと出来ているところも含めて、食事のマナーがよくないことにしてしまっては

良くないですよね。子供に限らず、大人も含めて、人間苦手なことというのはありますでしょう。

100点満点なんていういのは、有り得ないですよね。

そういう苦手なところも持ちつつも、なんとかそれを60点に持っていけるように。

他の出来ている部分は、もちろん、それはそれで伸ばしていければ良い訳ですから。

そんな風に、おおらかに考えてみてはいかがでしょうか。

因みに、私の経験では、大人になってからも握り箸で食べている人というのは、

余り見たことがありません。もちろん、上手な人、下手な人は居ますけれどね。