2021年5月18日放送
発電に活用して生ごみ減量 課題は分別
日々の生活の中で中々、減らすことできない「生ごみ」。新潟県長岡市では、生ごみを活用して電気を作る取り組みが進められています。その驚きの仕組みを取材しました。
長岡市で生ごみの有効活用が始まったのは、今からおよそ7年前。それに伴い、生ごみの出し方も他の自治体とは少し違います。長岡市で暮らす、吉川さんの家を訪ねました。
【吉川和枝さん】「生ごみはピンクのゴミ袋に入れて1週間に2回、出しています」
冷蔵庫に貼られたゴミ収集のカレンダーには、「生ごみの日」が。生ごみのみを収集する日があり、長岡市民は生ごみ専用のピンクのゴミ袋に入れて週に2回、生ごみを出します。
【吉川さん】「初めはやっぱりちょっとね『え~』と思ったんだけど、今はもう慣れてしまえばそういうものだと思って、大変とは思わない。あまり負担になりません」
どの家庭でも毎日出る「生ごみ」。その量を減らそうと努力しても、生活をしていく上で生ごみを減らすことは簡単なことではありませんよね。環境省がまとめた、1人当たりの1日のごみの排出量が多い都道府県別の順位では、新潟は何と3位。全国的に見ても、ごみの排出量が多い県なのです。
減らすことが難しいならと、長岡市では「生ごみ」を活用し発電を行っています。それが「生ごみバイオガス化事業」です。では、生ごみはどのようにして電気へと変わるのか。その仕組みを探るべく、自治体レベルでは全国で最大規模を誇る長岡市の発電所を訪ねました。
午前11時。発電所に生ごみを収集した車が、次から次へと到着です。ここには、1日およそ40トンの生ごみが集まります。集められた生ごみからまず、発電に不要なものが取り除かれます。
【長岡バイオキューブ 景山兼之介 副統括責任者】「こちらは受け入れた生ごみの、ごみ袋だとか食品トレーだとか、そういったものを分別する機械になっています」
プラスチックやビニールといった不適物が取り除かれた生ごみは、粉砕されドロドロになります。そして、液体になった生ごみが向かうのは...。
【景山さん】「こちらで分別して泥状になった生ごみを、こちらの調整槽に送っています」
調整槽と呼ばれるタンクに移され、ここで水を足します。液体状になった生ごみはいったい、どのようにして電気に変わるのか。この次が、生ごみが電気へと変わる過程で、最も重要なポイントです。
【景山さん】「こちらの調整槽に貯留した生ごみを、この2つの発酵槽に送ります。この発酵槽の中には、有機物を分解してガスを発せさせる微生物がいますので、発酵槽の中で有機物を分解して消化ガスを発生させる」
生ごみを電気へと変えていたのは微生物です。微生物は、生ごみに含まれる糖類やタンパク質などの有機物を発酵させます。およそ30日かけ発酵させていく中で、メタンガスが発生します。排出されたメタンガスはガスホルダーに蓄えられた後、発電されます。
【景山さん】「こちらが発電機になっております。先ほどの発酵槽で発生した消化ガスを利用して、電気を発電するガス発電機になっている」
発電機ではバイオガスを燃焼させ、ガスエンジンを動かします。ガスエンジンを動かす力で発電を行っているということです。去年は年間230万キロワット(600世帯分)の発電を行いました。
【長岡市環境施設課 平澤秀康課長】
「410万キロワットが最大発電量になっているので、それを換算すると、一般家庭1000世帯分になっている」
1日最大で65トンほど処理することができる、こちらの発電所。現在、集まっている生ごみの量は、長岡市内の家庭から出されるおよそ40トン。この40トンの生ごみを有効活用したことで、燃やすごみの削減に成功しました。
【平澤課長】「生ごみを収集する前と比べますと、現在約2割の燃やすごみを減らすことができております」
長岡市によるとごみを燃やす量が減ったことで、年間2000トンもの二酸化炭素排出量を減らし、さらには燃やしたごみの灰を埋める埋立地の延命化にもつながるため、15年間でおよそ35億円の費用削減になるそうです。
環境に優しいこのシステムですが、意外と難しいのが市民が行うごみの分別です。
【平澤課長】「稼働の前、1年くらいかけまして全地域を回りまして、生ごみの分別の方法と、どういった趣旨でこれを始めるのかといった部分を含めてご説明をさせていただいた」
生ごみを活用した発電には、ルールに沿ったごみの分別が必要で、市民の理解と協力が欠かせません。
【長岡市に住む 吉川和枝さん】「栗の皮もいいし、豆のさやも枝豆のさやもいいんだけれど、竹の皮・トウモロコシの皮は駄目なんだ」
有機物として微生物が発酵できるもの、例えば栗の皮やピーナッツの殻は生ごみとして出せますが、有機物を含まない竹の子の皮やクルミの殻は燃やすごみとして出さなければならないなど、分別は細かくなっています。
ルールを守り正しく分別をする。ごみを出す私たちの小さな心がけで成り立つ、新たなエネルギーの形に今後も期待です。
長岡市で生ごみの有効活用が始まったのは、今からおよそ7年前。それに伴い、生ごみの出し方も他の自治体とは少し違います。長岡市で暮らす、吉川さんの家を訪ねました。
【吉川和枝さん】「生ごみはピンクのゴミ袋に入れて1週間に2回、出しています」
冷蔵庫に貼られたゴミ収集のカレンダーには、「生ごみの日」が。生ごみのみを収集する日があり、長岡市民は生ごみ専用のピンクのゴミ袋に入れて週に2回、生ごみを出します。
【吉川さん】「初めはやっぱりちょっとね『え~』と思ったんだけど、今はもう慣れてしまえばそういうものだと思って、大変とは思わない。あまり負担になりません」
どの家庭でも毎日出る「生ごみ」。その量を減らそうと努力しても、生活をしていく上で生ごみを減らすことは簡単なことではありませんよね。環境省がまとめた、1人当たりの1日のごみの排出量が多い都道府県別の順位では、新潟は何と3位。全国的に見ても、ごみの排出量が多い県なのです。
減らすことが難しいならと、長岡市では「生ごみ」を活用し発電を行っています。それが「生ごみバイオガス化事業」です。では、生ごみはどのようにして電気へと変わるのか。その仕組みを探るべく、自治体レベルでは全国で最大規模を誇る長岡市の発電所を訪ねました。
午前11時。発電所に生ごみを収集した車が、次から次へと到着です。ここには、1日およそ40トンの生ごみが集まります。集められた生ごみからまず、発電に不要なものが取り除かれます。
【長岡バイオキューブ 景山兼之介 副統括責任者】「こちらは受け入れた生ごみの、ごみ袋だとか食品トレーだとか、そういったものを分別する機械になっています」
プラスチックやビニールといった不適物が取り除かれた生ごみは、粉砕されドロドロになります。そして、液体になった生ごみが向かうのは...。
【景山さん】「こちらで分別して泥状になった生ごみを、こちらの調整槽に送っています」
調整槽と呼ばれるタンクに移され、ここで水を足します。液体状になった生ごみはいったい、どのようにして電気に変わるのか。この次が、生ごみが電気へと変わる過程で、最も重要なポイントです。
【景山さん】「こちらの調整槽に貯留した生ごみを、この2つの発酵槽に送ります。この発酵槽の中には、有機物を分解してガスを発せさせる微生物がいますので、発酵槽の中で有機物を分解して消化ガスを発生させる」
生ごみを電気へと変えていたのは微生物です。微生物は、生ごみに含まれる糖類やタンパク質などの有機物を発酵させます。およそ30日かけ発酵させていく中で、メタンガスが発生します。排出されたメタンガスはガスホルダーに蓄えられた後、発電されます。
【景山さん】「こちらが発電機になっております。先ほどの発酵槽で発生した消化ガスを利用して、電気を発電するガス発電機になっている」
発電機ではバイオガスを燃焼させ、ガスエンジンを動かします。ガスエンジンを動かす力で発電を行っているということです。去年は年間230万キロワット(600世帯分)の発電を行いました。
【長岡市環境施設課 平澤秀康課長】
「410万キロワットが最大発電量になっているので、それを換算すると、一般家庭1000世帯分になっている」
1日最大で65トンほど処理することができる、こちらの発電所。現在、集まっている生ごみの量は、長岡市内の家庭から出されるおよそ40トン。この40トンの生ごみを有効活用したことで、燃やすごみの削減に成功しました。
【平澤課長】「生ごみを収集する前と比べますと、現在約2割の燃やすごみを減らすことができております」
長岡市によるとごみを燃やす量が減ったことで、年間2000トンもの二酸化炭素排出量を減らし、さらには燃やしたごみの灰を埋める埋立地の延命化にもつながるため、15年間でおよそ35億円の費用削減になるそうです。
環境に優しいこのシステムですが、意外と難しいのが市民が行うごみの分別です。
【平澤課長】「稼働の前、1年くらいかけまして全地域を回りまして、生ごみの分別の方法と、どういった趣旨でこれを始めるのかといった部分を含めてご説明をさせていただいた」
生ごみを活用した発電には、ルールに沿ったごみの分別が必要で、市民の理解と協力が欠かせません。
【長岡市に住む 吉川和枝さん】「栗の皮もいいし、豆のさやも枝豆のさやもいいんだけれど、竹の皮・トウモロコシの皮は駄目なんだ」
有機物として微生物が発酵できるもの、例えば栗の皮やピーナッツの殻は生ごみとして出せますが、有機物を含まない竹の子の皮やクルミの殻は燃やすごみとして出さなければならないなど、分別は細かくなっています。
ルールを守り正しく分別をする。ごみを出す私たちの小さな心がけで成り立つ、新たなエネルギーの形に今後も期待です。