2021年2月15日放送

予約してAIがルート設定 オンデマンドバス(後編)

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持続可能な開発目標「SDGs」は、全部で17の目標があります。その中には、「住み続けられるまちづくり」という項目もあります。今回のテーマは、ふるさとで暮らし続けるための「公共交通」です。「オンデマンド交通」について取材しました。

※サステナブルファッション(前編)<"路線バスとタクシーの中間">からの続き

「人口減少でも、公共交通を未来」へ。こうした動きは、新潟市でも始まっています。

【記者リポート】
「人口減少やマイカー依存で、バスの利用者が減っています。そうした中、まちなかでも効率化の動きが進んでいます。それが、AIを活用した予約制のバスです」

【運転手】
「やっと慣れました」

新潟交通は、新潟市中央区のいわゆる下町(しもまち)エリアで、小型バス2台を使って「オンデマンドバス」の運行実験をしています。乗り降りできる場所は48のバス停に限られていますが、希望する時間に最適なルートで運行してくれます。料金は1乗車で210円です。

【70代利用者】
「自分が乗りたい時間を言って、それに合わせてくれるし、このバスの方がいいですね」

スマートフォンのアプリで予約し、受付からルート設定をAIが自動的に行うのが特徴です。AIは瞬時にルートを探索します。そのため...。

【60代利用者】
どのくらい前に予約しました?「きょうは10分前くらいです」

乗る直前に予約できます。

【運転手】
「大学病院でよろしかったですか?」
【70代利用者】
「はい、すみません」

【70代利用者】
「病院は何時に終わるか分からないから、会計終わるころに電話すると、迎えに来てくれる」

AIが設定したルートは、タブレットを通じて運転手に伝えられます。

【運転手】
「決まったルートではなくて、ナビ通りに走るんですけど、(お客さんの)時間に(合わせて)動いているのが、非常に面白く感じます」

記者も、オンデマンドバスで移動してみました。この時は、予約してわずか5分でバスが来ました。

【記者】
「お願いします。予約していました坂部です」

スマートフォンのアプリで、バスの場所や到着までの時間を見ることもできます。

【記者リポート】
「普段は、バスが通らない道も含めてルートを決定します。オリジナルルートです。間もなく、到着ですね」

路線バスのように迂回することはなく、目的地まで移動できました。もともとバス停がないところから最短ルートをバスは進みました。

バスの利用者の減少に、新型コロナウイルスの影響も加わり、新潟交通も厳しい経営状況が続いています。事業の効率化を求められていますが、運行路線全てをオンデマンドバスにすることは、逆に効率的ではないと新潟交通の担当者は話します。

【新潟交通企画調整課 渡辺健課長】
「エリアを広げれば広げるほど、利用する人の総量が増えることが想定されますし、1人当たりの乗っていただく時間が長くなりますので、デマンドという運行形態が逆に非効率なケースも想定されます」

公共交通の使命であるサービスを続けるために、どうしたらよいのか。新潟交通は、朝夕の通勤・通学時間帯は定時・定路線で運行し、日中はオンデマンドバスを運行するという方法も、サービス継続のための一つの方策だと考えています。新潟交通は実験が終わった後に結果を検証し、新たな移動サービスの形も検討していきたいとしています。

【新潟交通企画調整課 渡辺健課長】
「例えば自動運転という部分も、全国的にはいろいろ実証実験がされているところですので、一つの可能性としてはあると思います」

ふるさとで暮らし続けるために必要な公共交通。それぞれの地域の特徴や利用者のニーズに合わせ、効率的な仕組みを生み出していくことが、生き残りのカギと言えるかもしれません。

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